内定取り消しに遭ったら|会社への対応方法や事前の対策方法を知る

2018年1月23日838 view

内定取り消し

2008年のリーマンショックをきっかけに、新卒採用の内定取り消しが全国的に横行し、社会問題となりました。厚生労働省も対策に乗り出していますが、自分でも内定を取り消された場合にはどのように対処すればよいのかを知っておくことが大切です。万一のときは、ただちに弁護士に相談して協力を求めることが問題解決への第一歩となるでしょう。

採用内定が出たら会社との労働契約は成立?

2008年のリーマンショックをきっかけにして、会社の経営難により採用内定取り消しの憂き目に遭う学生が増加しました。メディアがこぞって内定の取り消しの問題を取り上げるようになり、社会的問題にもなっています。現在でも、内定取り消しはなくなったわけではありません。

会社とはいつ労働契約が成立するのか

新卒採用に関する選考から内定への流れを説明すると、まず求人募集の発表が行われ、会社説明会が開かれたり筆記試験・面接による選考が実施されたりします。そして就職する前年の10月頃に会社から採用内定通知が届くので、誓約書などを記入・提出すると正式に内定が成立します。では、会社との労働契約はどの時点で成立することになるのでしょうか。

「内定を出した時点で労働契約が成立する」説

昭和54年の判例「大日本印刷事件」(最2小判昭54.7.20 民集33巻5号582頁)によると、「採用内定時点で労働契約は成立して労働契約の効力も発生するが、就労開始時期は将来に定められているため、一定の取消事由がある場合には解約できる」と解釈されています。これを「解約権留保付就労始期付労働契約」と言います。

「入社日まで労働契約の効力が発生しない」説

一方、昭和55年の最高裁の判例「電電公社近畿電通局事件」(最2小判昭和55.5.30 民集34巻3号464頁)では、「採用内定時点で労働契約が成立するが、その効力の発生時期は将来に定められており、一定の取消事由がある場合には解約できる」とする立場がとられています。これを「解約権留保付効力始期付労働契約」と言います。

内定と内々定の違い

就職・転職活動中の求職者から、「内定をもらった」「内々定をもらった」との話を聞いたことのある人も多いのではないでしょうか。「内定」と「内々定」は、言葉は似ていますが、厳密にはその意味は異なります。

内定とは

一般的に、内定とは労働契約が成立したことと同意であるため、内定を取り消す場合は解雇にあたるとみなされます。ただし、入社日までは実際に勤務をしているわけではないので、内定取り消しにあたり会社側による解雇予告手当の支払いは不要であると解釈されています。

内々定とは

内々定とは、会社側からの採用予定通知のことです。そのため、内々定が労働契約であるとみなされるのは難しく、内々定を取り消されても解雇にはあたらないと考えられます。しかし、平成22年の「コーセーアールイー事件」では、内々定の取り消しは内々定者に対する期待権の侵害にあたるとして、裁判所は会社側に慰謝料の支払いを命ずる判決を下しました。(福岡地判平成22.6.2 労働判例1020号82頁)

内定取り消しは解雇と同じ

内定の取り消しは解雇と同じであるとみなされます。そのため、会社が内定者に対して内定の取り消しを行うためには、慎重に対応しなければならず、解雇の時と同様に客観的合理性や社会的相当性が必要となります。

内定取り消しが有効な場合・無効な場合

基本的に内定取り消しは求職者側に落ち度がなければ無効とされるケースが多いですが、中には内定取り消しが有効であるとされるケースもあります。

内定取り消しが有効とされる場合

内定取り消しが有効とされる場合は、以下の要件に当てはまるケースが考えられます。

  • 会社が経営難で人員を増やすと経営を逼迫させる場合
  • 内定者が内定後に病気や怪我をしたことによって勤務できなくなった場合
  • 内定者が申告していた経歴や学歴の重要部分に虚偽があった場合
  • 内定者が、大学を卒業できなかった場合

内定取り消しが無効

逆に、内定取り消しが無効になるケースは以下のような場合となっています。

  • 内定者が陰気で社風に合わない人物である場合
  • 会社の決算が赤字になった場合
  • 内定者を出したものの、後日さまざまな理由で採用する余裕がなくなった場合
内定取り消しなどに対する厚生労働省の取り組み

リーマンショックを契機に会社都合による新卒者の内定取り消しや入職時期の繰り下げが全国で横行したことを受けて、厚生労働省も各会社に対して働きかけを行うなどの取り組みを行い、内定者の救済に乗り出しています。

採用内定取り消しについて

厚生労働省は、「採用内定取り消しを行う際には、解雇権の濫用についての規定が適用されるため、解雇に準じて手続きを厳正に行う必要がある」と各会社に警告しています。また、内定取り消し理由の証明書を請求されたら遅滞なく交付する義務があること、内定者の再就職先の確保について最大限の努力を行うこと、学生・生徒からの補償の要求には誠意をもって対応することを呼びかけています。

入職時期の繰り下げについて

また、厚生労働省は、「会社側が入社日は変更しないものの、会社側の都合で休業させたり自宅待機とさせる場合には、その期間は休業手当を支払う必要がある」としています。入社日を延期する場合は、採用内定者の合意を得る必要がある、学生・生徒からの補償の要求には誠意をもって対応すべきことも示しています。

労働条件の変更、内定辞退の強要

一方的な労働条件の変更や内定辞退の強要などがあった場合については、ハローワークが会社に対して事実関係を確認し、内定取り消し通知書を提出するよう指導する場合がある旨を、厚生労働省が明確な方針を打ち出しています。

内定取り消しされた場合の対処法

会社から内定をもらって、入社に向けて準備をしていたのに、急に内定を取り消された場合、内定者が受ける損害は計り知れません。入社に伴い転居が必要だった場合は、さらに受ける損害は大きくなるでしょう。

会社側への対応方法

会社側への対応の仕方は、その会社でどうしても働きたい場合と、他社への就職を希望する場合とで異なります。それぞれの場合について、見ていきましょう。

従業員としての地位確認を求めて訴訟を起こす

内定を取り消されてもどうしてもその会社に入りたい場合は、従業員としての地位確認を求めて訴訟を起こすことができます。しかし、迅速に地位を確定させるには、訴訟を起こすよりも仮処分を申し立てるほうが速いでしょう。

未払い賃金の支払請求

従業員としての地位確認を求めた上で、未払い賃金の支払い請求をすることもできます。新卒採用の場合、4月1日から未払い賃金の請求を行った時期までにもらえるはずだった賃金について、会社側に請求することが可能です。

内定取り消しに対する損害賠償請求

「その会社で働くことはあきらめるが、再就職先を見つけるまでの生活を補償してほしい」などの場合は、内定取り消しに対する損害賠償金や慰謝料の請求を会社側に対して行うことができます。内定通知書や労働条件通知書があれば、比較的主張が認められやすいと考えられています。

内定取り消しに備えての対策

万が一内定を取り消された場合に備えて、会社から内定をもらったときに対策を講じておくことも非常に重要です。どのような対策を取っておけばよいのでしょうか。

内定が出たことの証拠を残す

まずは、内定を正式にもらったことについての証拠を残すことが大切です。内定通知書が来たら、絶対に保管しておきましょう。電話で内定通知が来た場合は、日付もわかるようにメールで返信しておくのも、「言った・言わない」の争いを避けられるひとつの方法です。

内定辞退は絶対にしない

内定の取り消しではなく、内定者を不安にさせる文書やメールを送ったり、内定辞退書にハンコを押させるなど、内定辞退を迫る企業もあります。そのときは絶対に内定を辞退する意思表示をしないようにすることが大切です。

公的機関に相談を

内定を取り消された生徒・学生については、各市区町村にあるハローワークで相談を受け付けています。ハローワークに行けば、相談に乗ってもらえるだけでなく、就職活動再開に向け全面的にバックアップをしてもらえます。休職者にとって、公的機関は心強い味方となるでしょう。

内定取り消しの憂き目にあったときは弁護士に相談を

会社側には顧問弁護士がついていることも考えられるため、学生の立場では相手方と交渉をしようにも太刀打ちできない可能性があります。内定を取り消された場合は労働問題に詳しい弁護士にすぐに相談し、こちらも弁護士をつけて対等に交渉をする姿勢を見せることが大切です。

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